AIを使ってATOTO X10のサウンド設定を最適化して本来の性能を100%発揮させるようにした

ATOTO X10

概要

ATOTO X10に乗り換えてから1年以上、「S8の時のほうが音が良かった」とずっとモヤモヤしていました。同じスピーカー、同じデッドニング、同じ車。スピーカーシステムは何も変えていないのに、X10にしたら音圧が落ちて、重低音もスカスカ。

過去の記事でも何度かサウンド設定をいじっていましたが、S8時代を100点とすると60点くらいまでしか戻せず、外部アンプ(CA-AEC03とかCA-AEC122D)の追加も検討していました。

ただ、外部アンプを買う前に「もう一回根本から見直したい」と思って、AIに相談しながら徹底的に詰めてみたら、外部アンプを買わずにS8を使っていたときと同等の音質に到達しました。1年悩んだ問題が1時間で解決した話です。

音が悪い原因は2つあった

結論から言うと、X10で音が悪く感じていた原因は以下の2つでした。

  1. 耳に頼ったイコライザー設定(実測ベースで詰めていなかった)
  2. 各スピーカーの音量を調整していなかった(定位が運転席に合っていなかった)

X10は機能が豊富で、36バンドEQやタイムアライメントといった本格的なチューニング機能が揃っているのですが、それを耳と感覚だけで使っていたのが間違いでした。機能を活かしきれていなかったというのが正しい言い方かもしれません。順番に解決していきます。

真犯人① 耳に頼ったイコライザー設定

X10には20Hz〜20kHzの36バンドEQが搭載されていて、Q値(バンド幅)も各バンドで調整できる強力な機能です。

過去のEQ設定の記事では「ロックっぽくしたいから低音と高音を上げる」みたいな耳ベースで触っていましたが、これだと車内音響の癖が分からないまま補正しているので、実は逆効果になっている可能性があります。

そこで今回は、ピンクノイズと実測カーブをベースに詰めました。

測定環境

  • エンジンOFF、エアコンOFF、窓全閉
  • 深夜の駐車場
  • Android端末に「Spectroid」というRTAアプリ(無料)を入れる
  • Android端末を運転席のヘッドレスト位置にホールド
  • Atoto X10上のYouTubeでピンクノイズを再生

1回目の測定(EQフラットの状態)

ピンクノイズを流して測ると、3〜8kHzに+5〜10dBの大きな山が出ていました。これがツイーター4個構成(TS-C1740内蔵ツイーター + BOSEツイーター)の弊害で、高域が過剰に出ている状態。

逆に10kHz以上は急峻に減衰していて、超高域は出ていない。低域は40〜100Hzでフラット、ここはOK。

「高音が刺さるけど抜けない」と感じていたのは、まさにこのカーブが原因。耳ベースで触っていた時は気づきませんでした。

EQ補正

実測カーブをHarmanカーブ(理想曲線、緩やかな右肩下がり)に近づけるように、X10の36バンドEQで以下のような補正を入れました。

  • 3.4〜5kHz: -3〜-4dB(ツイーター4個の山を削る)
  • 10〜17kHz: +2〜+3dB(超高域を補強)
  • 45〜65Hz: +1〜+2dB(キックの量感を補強)

最初はQ値5.0(ピンポイント)でやっていましたが、隣り合うバンドの設定差が大きいとカーブがガタガタになるので、最終的に全バンドQ=3.0に落として滑らかにしました。

どの周波数をどのくらい調整するのかは、AIにSpectroidの写真を撮影して丸投げしました。最終的には、Spectroidのピークホールド機能を使ってピークになっているところを重点的に削ってある程度フラットにしたうえで、ハーマンカーブに近づけるように持ち上げました。

補正後の再測定

EQ補正してもう一度測ると、ピラミッド型のなだらかな右肩下がりになりました。Harmanカーブにかなり近い、教科書的な良バランス。

「測定 → EQ調整 → 再測定」を3周くらい繰り返して追い込みました。耳でやってた時はこういうPDCAが回せなかったので、実測ベースのありがたみを実感しました。

ちなみに、サウンド設定の「ラウドネスコントロール」もONにしました。これは小音量時に低域と高域を補強する機能で、車内のような騒音環境では基本ONにしておくのが正解です。これだけで体感はけっこう変わります。

ラウドネスコントロールをOnにすると60Hz付近が持ち上げられました。

そして最後は主観で自分の耳の特性に合わせて足りないところとかピークを出すところの周波数をずらしたりしました。具体的には、60Hz以下の振動に近い重低音を強化しました。スピーカー自体は再生できる能力があるので音源に入っている場合は再生してもらうためです。また、高温のピークをもう少し高音側に持ってきました。

最終的なエコライザの設定はこちら。前回設定した内容とは全然異なります。ちゃんとスペクトラムアナライザーで詰めていったほうが楽ですね。。。

余談ですが、Bassを強化した曲を流すとこんな感じのスペクトラムになります。

真犯人② 各スピーカーの音量を調整していなかった

EQで周波数特性が整ったあと、もう一つ重要なのがタイムアライメントでした。

ZC33Sのような小さい車だと、運転席に座ると右ドアスピーカーまで50cm、左ドアスピーカーまで130cm、というふうにスピーカーごとの距離が大きく違います。これを補正しないと、音が運転席側に偏って、定位がぐちゃぐちゃになります。

巻尺で各スピーカーまでの距離を測って、X10のタイムアライメントに入力。一番遠いスピーカーを基準にして、近いスピーカーには遅延を入れて時間差を揃えます。

さらに、各chのレベル合わせも重要でした。距離が近い運転席ドアは音量を少し下げる、リアスピーカーも下げて後方定位を弱める、といった調整です。

これをやった瞬間、音像がダッシュボード中央にピタッと定位しました。今までドアの足元から音が鳴っているように感じていたのが、急に目の前のハンドル奥から音が出るようになる感覚。これは効果絶大です。

ボーカルがハンドル奥のセンターに、ギターは左右に広がって、ドラムは中央後方の空間に。コンサートホールで真ん中の席に座ったような立体感が出ます。S8の時もここまで定位が決まっていなかった気がするので、ここがS8越えの大きな要因です。

今までは距離は入力していましたが、音量は変更していませんでした。助手席のスピーカーを基準として、運転席は-3dB, リアは両方-2dBにしました。これによってより定位が出るようになりました。

距離だけしか設定しないと、音の到達は理想通りですが音量が違うのでリスニングに違和感が出ちゃっていたんだと思います。

AIに相談しながら進めるメリット

今回の作業、全部AI(Claude Opus 4.7)に相談しながら進めました。具体的には:

  • 設定画面のスクショを送って「これで合ってる?」と確認
  • 実測カーブのスクショを見せて「次にどう補正すべき?」と相談
  • 補正後の変化を一緒に分析

カーオーディオ調整って、専門用語と数値だらけで一人でやると詰まりやすいんですが、対話しながら進めると判断が早いです。「Harmanカーブってどんな形?」「Q値ってどう決めるの?」みたいな初歩的な質問にも即答してくれるので、調べながらやるより圧倒的に効率が良かったです。

途中、AIが「ハイパスフィルターが原因だ!」と誤診したりもしました。スクショだけでは判断できない部分もあるので、最終的には自分の手で確認しながら進めるのが大事です。AIは万能ではないですが、相談相手としてはかなり優秀でした。

結果

ATOTO S8時代と比べてどうかと言うと、S8越えしました。

  • 重低音: 音源にちゃんと入っている時はしっかり出る
  • 高音: 自然な伸び、ツイーター4個でも刺さらない
  • 定位: 運転席のスイートスポットに音像が決まる
  • 全体: 長時間聴いても疲れない自然なバランス

「音源に入っている時はちゃんと出る」というのが大事で、Bass Boost的に低音モリモリにすると最初は気持ち良いけど長時間は疲れます。今の状態は「音楽の良し悪しがちゃんと聴き取れる」ハイファイ寄りのチューニングになりました。

まとめ

X10の音質に不満がある人は、以下の2つを順番にチェックしてみてください。

  1. EQを耳だけで触っていないか(ピンクノイズで実測してから補正する)
  2. タイムアライメントとレベル調整をしているか(運転席で定位が決まっているか)

特に2番のタイムアライメントは、やる前とやった後で世界が変わります。今までずっと「ドアから音が鳴っている」状態だったのが、「目の前から音が出ている」状態になります。

外部アンプの追加を考える前に、ソフト側の設定を一度見直す価値があります。8万円のヘッドユニットの本来の性能を、設定だけで引き出せるかもしれません。

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