概要
サーキットやゼロヨンなどの詳細な記録をするためにデータロガーが用いられます。一般的にはかなり高価なのですが今回は安価ですが精度の高いデータロガーを紹介します。
サーキットにおけるデータロガーとは
位置情報、加速度、温度、加速度などの物理量を1秒間に10から20回程度のデータを測定し、その値を記録します。データロガーは通常、数万円から数十万円でスタンドアロンのレコーダーであり、リアルタイムデータを監視および記録します。
スマホでも代替はできるのですが、OSの制約でセンサデータの読み取りと記録が1秒に1回しか行えません。
RaceBoxとは
RaceBoxは、高精度GPSデータロガーを開発・販売するアメリカの会社です。主に自動車やバイクのパフォーマンス測定に特化した製品を提供しています。RaceBoxの主な特徴は以下の通りです:
- 高精度GPSテクノロジー: 最新のRaceBox MINIは25Hz(1秒間に25レコードを記録) GPSに対応しており、8cm程度の精度で位置情報を取得できます。
- 多機能性: ラップタイマーやドラッグメーターなど、様々な計測機能を搭載しています。
- スマートフォン連携: 独自のアプリ「RaceBox」を通じて、データの表示や分析が可能です。
- 豊富なサーキットデータ: 世界中の1500以上のレースサーキットのデータを内蔵しています。
- 製品ラインナップ: 画面付きのRaceboxと、よりコンパクトなRacebox Miniなどのデータロガーを展開しています。
RaceBoxは、モータースポーツ愛好家やプロフェッショナルドライバーに向けて、高精度な計測ツールを提供することで、走行パフォーマンスの向上をサポートしています。
RaceBox MICRO
本当は、RaceBox Mini Sが欲しかったのですが金額がちょっと高いなという印象と、大きさが大きいっぽいことが懸念でした。それに対して、RaceBox MICROはなんとRaceBox Mini Sと同じ性能で金額が半額というところが魅力でした。機能の違いは充電池が入っているか入っていないかという違いです。
あと、RaceBox Mini Sは大きいのでカートといったラップライマーを車載できないケースで使えない問題がありますが、Microであればヘルメットの上に搭載できるくらい小さいのでカートにも頑張れば使えるという点も利点です。
MICROの位置付け
小型・軽量設計
RaceBox MICROは、わずか15グラムという超軽量で、サイズも25x40x12mmと非常にコンパクトです。
高精度GPS
25Hz GNSSレシーバーを搭載し、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、SBAS、QZSSに対応しています。これにより、10cm程度の高精度な位置情報を取得でき、99.5%以上の精度で100分の1秒単位の計測が可能です。「順天衛星 みちびき」対応です。
多機能性
内蔵の加速度センサーとジャイロスコープにより、車両の動きを詳細に捉えることができます。また、スマートフォンアプリと連携し、ラップタイムやドラッグレース計測、データ分析などの機能を提供します。
DIY・開発者向け
RaceBox MICROは、DIY愛好家や開発者向けに設計されています。APIドキュメントが公開されており、独自のアプリケーション開発も可能です。また、ArduinoやRaspberry Piなどのプラットフォームとの互換性もあります。
価格帯
クラウドファンディング時の早期割引価格は89ドル(約1万4000円)でした。これは、同様の機能を持つ他社製品と比較して競争力のある価格設定です。RaceBox MICROは、高精度なGPSデータロガーを求めるモータースポーツ愛好家や、独自のアプリケーション開発を行いたい開発者にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢として位置づけられています。
購入
確か、$200以上買わないと送料が無料にならないので3つ買いました。(日本国内で欲しい方にお安く再販します。)
DHLで配送されます。後日、DHLから関税の支払いの連絡が来ました。3つでこのぐらいの値段なので1,426円/個です。
お客様のお荷物(発送人名ROTAX.BG LTD)が配送先国に到着し、通関手続きが完了いたしました。お客様のお荷物は輸入関税/消費税もしくは通関サービス手数料の対象です。 見積もり金額はJPY 4,280.00です。
RaceBox MICROをmercariで販売しています。
開封
ビニールで密閉梱包されているので未開封なのがわかります。
1つの箱はとても小さいです。
ボールペンとの比較です。
超小さい!筐体の中に内部クロックを動作させるためのボタン電池を絶縁するシートが見えます。絶縁した状態でも使えますが、GPSの捕捉に時間補正も加わるため時間が数分多くかかります。
説明書。物理ボタンが1つついているだけです。電源は、3.5-16Vを給電すればOKのようです。幅が広くて助かります。
状態表示用のLEDが4つついています。この4つが点灯、点滅、消灯していることによって状態を確認できます。たくさんあって覚えられませんが、普通に使う分にはデータ記録中かどうかを判定する赤が点灯しているかと、GPSが補足できていれば緑が点灯するということを覚えておけばOKです。
内部電池について書かれています。内部電池を使えば4秒でGPSを捕捉できるそうです。
データの転送は専用アプリを使う必要があります。
ペアリング
スマホのアプリをダウンロードして、センサーとペアリングして利用します。
簡単にペアリングできました。手元に転がっていた9Vの電源に接続しています。屋内で実験しているのでGPSが捕捉できていません。
動作しているときの表示。
中身の電池の絶縁シートを取る方法がわからなかったのでRaceBoxのサポートに問い合わせたら翌日に回答が来ました。
「横を思いっきり握れば外れます。ケースはかなり頑丈なので大丈夫」ってことでした。なので、思いっきり横から握ったら外れました。ケースの柔軟性もしっかりしていて品質は良いです。安い樹脂だと割れるくらい力を入れました。。。
外で持ち歩いて実験するためにMakitaの18V充電池から5Vを取り出して接続してます。(モバイルバッテリーが手元に1つもない。。。)
外でアプリを起動したらこんな感じで表示されました。起動直後で、しかも空への見通しが悪いので8つ衛星を捉えています。
アプリから色々動作を設定できます。10Hzと25Hzのデータ記録頻度を設定できます。
GPSを補足して、記録中の表示はこんな感じ。LEDが眩しいので太陽の下でもしっかり視認できると思います。
カスタムコースを作ってテスト
RapBoxのアプリで記録して表示するためにはコースを走らないと分析結果等がちゃんと表示されなくて見ていても面白くないです。なので、公園に行って砂場を1周するコースを作ってテストしてみました。
スプリットも設定できるので半分ぐらいでスプリットも設定してみました。
作ったコースは下のような感じです。
RaceBoxのアプリ上で記録して表示してみた結果です。手でRapBox MICROを持ちながら砂場をぐるぐるランニングしました。
以下は1周目と2周目を比較した画面です。
平均値を比較できます。
記録したデータは、RaceBoxのクラウド上に保管されるので、WebブラウザでRaceBoxにログインし、vbo形式エクスポートして、RaceChronoにインポートして表示してみます。
右回りなので、Gセンサーは左に多く分布しています。
一応、RaceBoxのアプリからデータはダウンロードできるのですがそのデータをexportはできません。
その他の画面
GPSの補足情報もリアルタイムに閲覧できます。QZSSが導きです。ちゃんと捕捉できています。
加速度センサの情報表示。
公道でテスト
公道でテストしてみました。RaceChronoでプレビューした内容を録画しました。
Gセンサーも線で表示されるくらいサンプリングレートが高いです。
サーキットでは無いので面白みは無いですが、すごい精度が高いです。さすが25Hzです。カーブしたときの弧がきれいに表示されています。
まとめ
小型で25Hzに対応しているデータロガーが2万円しないで購入できるのはお得だと思います。
現時点(2025年1月12日)ではRaceChronoでRaceBox MICROのデータを直接記録できません。次のRaceChronoのリリースで対応するらしいです。そうすれば、いちいちExportとImportを繰り返さないでRaceChronoで直接記録できます。
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