トルクレンチによるホイールナットのトルク管理

メンテナンス

トルク管理をしていない場合

「百聞は一見にしかず」ということで以下の動画を御覧ください。

特に、ネジの締め込む向きと車の走行方向の影響により、車の左側が緩みやすいです。ホイール脱落の動画を見ていると9割は左側が外れています。

締め付けトルクの重要性

ホイールナットのトルクが適切ではない場合、以下のような問題が発生する可能性があります:

  1. 締め過ぎの場合
  • ボルトやナットが破損する可能性があります。
  • ホイールやブレーキディスクが歪む場合があります。
  • スタッド(ホイールを固定するためのピン)の折損や折れ曲がりが発生する可能性があります。
  1. 締めなさすぎの場合
  • ホイールが緩むことがあり、脱落のリスクやブレーキの効きが悪くなる可能性があります。
  • ホイールとハブの間に適切な接触が確保されず、ブレーキの性能や操縦性が低下する可能性があります。
  • ホイールナットやスタッドが振動や衝撃で損傷する可能性があります。

適切なトルクを適用することは、これらの問題を防ぐために非常に重要です。メーカーの指示に基づいて正確なトルク値を使用し、専用のトルクレンチを適切に使うことをお勧めします。これにより、ホイールの安全性、パフォーマンス、および耐久性を最大限に保つことができます。

トルク管理の重要性

ホイールナットの締め付けトルクは、車の安全性と安定性に直接関係しています。正確な締め付けトルクを守ることは、以下の理由から重要です:

  1. 安全性の確保: 正確な締め付けトルクを守ることにより、ホイールが確実に車体に固定されます。これにより、ホイールが脱落したり、車体との接触が不安定になることを防ぐことができます。ホイールが正しく固定されていることは、車の運転中における安全性を高める重要な要素です。
  2. タイヤの寿命と性能: 適切な締め付けトルクを使用することにより、タイヤの寿命を延ばすことができます。ホイールナットが緩んでしまうと、タイヤとホイールの接触が不十分になり、振動や摩耗が増加します。また、不適切な締め付けトルクはタイヤのバランスを乱し、快適な運転や高速道路での安定性に影響を与える可能性があります。
  3. 車両のパフォーマンス: 正確な締め付けトルクは、車両のパフォーマンスにも影響を与えます。車輪が正しく締め付けられていることで、ホイールとブレーキディスクやタイヤの間の適切な接触が確保されます。これにより、ブレーキ性能の最適化や操縦性の向上が期待できます。

ホイールナットの締め付けトルクは、メーカーの指示に基づいて適切に守ることが重要です。専用のトルクレンチを使用して正確なトルクをかけることをお勧めします。適切な締め付けトルクを守ることは、車の安全性とパフォーマンスの確保につながります。

スイフトスポーツ (zc33s)の場合

ソケットは、19ミリなので、19ミリのソケットを装着してナットを締め付けます。

締め付けトルクは、100N・m (1020kgf・cm)です。

おすすめのトルクレンチ

ホイールだけではなく、補強パーツやマフラーなどの負荷がかかる部分の締め付けトルクも計測が必要なのでトルクレンチは色々な場面で使用します。

メジャーなところだとピラーバー、ストラットバーなどで使います。

売れ筋

Amazonで一番売れているトルクレンチです。値段がお手頃ですし、エマーソンなので安心感はあります。

安心のSK11

SK11とディープソケット。SK11は藤原産業のブランド名です。

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SK11(エスケー11)
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トルク測定範囲:20~140n・m(右ネジ・左ネジの両回転対応型)

トルクレンチの使い方

トルクレンチを使って車のホイールナットを締める方法は以下の通りです

  1. まず、車を安全な場所に停め、エンジンを切ってください。手ブレーキをかけ、必要に応じて車輪をブロックしておきます。
  2. トルクレンチに正確なサイズのソケットを取り付けます。車のホイールナットのサイズに合わせたソケットを使用してください。ソケットがしっかりと取り付けられていることを確認してください。(スイフトスポーツは19mmです)
  3. トルクレンチのハンドルまたはモードセレクターを使用して、目標トルク値に設定します。車のメーカーやモデルによって異なる設定値がありますので、車の取扱説明書を参照して正確なトルク値を確認してください。(スイフトスポーツは100Nmです)
  4. ナットを少し締め付け、トルクレンチのハンドルまたはモードセレクターを使って、目標トルク値までゆっくりと時計回りに回します。トルク値が達成されると、トルクレンチはクリック音を発します。
  5. 各ホイールナットに対して同じ手順を繰り返します。ナットの締め付け順序は対角線上に行っていきます。5つ穴なら星を書くように。4つ穴であればそれぞれの対角線ごとにやります。
  6. すべてのホイールナットが目標トルク値で締め付けられたら、最後にトルクレンチをナットから取り外します。

注意事項:

  • トルクレンチを使用する際には、適切な保護装置(手袋、安全眼鏡)を着用してください。
  • ホイールナットを締め付ける際に、一度に大きな力をかけず、ゆっくりと均等に力を加えてください。
  • 目標トルク値に達したら、余分に力を加えないようにしてください。これにより、ホイールナットやホイール自体が損傷することを防ぐことができます。

トルクレンチの保管方法

トルクレンチを適切に保管することは、長期間の使用や保存中の損傷を防ぐために重要です。

  1. 清潔な状態で保管する: トルクレンチを使用した後は、汚れや油などを取り除いてから保管してください。清潔な状態で保管することにより、パーツやメカニズムの劣化や腐食を防ぐことができます。
  2. 適切な場所に保管する: トルクレンチは湿気や変温、埃から保護する必要があります。保管場所は、乾燥していて温度が安定している場所を選びましょう。また、直射日光や高温の場所から遠ざけることも重要です。
  3. 専用の収納ケースを使用する: トルクレンチには、専用の収納ケースが付属していることがあります。収納ケースを使用することで、トルクレンチを保護し、整理することができます。収納ケースがない場合は、クッション性のある箱やケースを使用して、トルクレンチを保管してください。
  4. 機械式トルクレンチの場合は解放する: 機械式トルクレンチは、長期間保管される場合には緩めた状態で保管することをおすすめします。これにより、内部のメカニズムの圧力を解放し、正確な測定を保つことができます。
  5. メンテナンスを定期的に行う: トルクレンチには定期的なメンテナンスが必要です。定期的に動作チェックや校正を行うことで、正確なトルク値を保つことができます。メーカーの指示に従ってメンテナンスを行うか、専門の業者に依頼することをおすすめします。

これらの保管方法を守ることで、トルクレンチの寿命を延ばし、正確なトルク値を確保することができます。

トルクレンチの校正方法

機械式トルクレンチを正確に校正するには、専門の校正装置が必要となります。しかし、一般的なユーザーが自宅で手軽にトルクレンチを校正することは難しいです。トルクレンチの校正は高い技術を必要とするため、誤った校正はトルクレンチの性能を損なう可能性があります。このため、トルクレンチの校正はメーカーや専門の業者にお任せすることをおすすめします。

適切なトルク値を保証するために、トルクレンチは定期的な校正を受ける必要があります。通常、メーカーは使用頻度や条件に基づいて校正の間隔を指定しています。トルクレンチのメンテナンスや校正については、使用者マニュアルやメーカーの指示に従うことをおすすめします。

もし校正が必要な場合、トルクレンチのメーカーや販売業者に連絡し、正確な校正を行うための手続きやサービスを依頼してください。彼らは専門の校正装置や適切な技術を用いて、トルクレンチを正確に校正することができます。

自分で手軽に簡易的にトルクレンチが正しいかどうかを確認するためには、ばねばかりを使って計算できます。以下のページに詳しく書かれています。

トルクをチェックする頻度

ホイールナットの締め付けトルクをチェックする頻度は、適切な状態を保つために重要です。以下のガイドラインに従ってトルクをチェックする頻度を決定してください。

  1. 新車購入後: 新車を購入した場合は、最初の1000キロメートル(約620マイル)の間にトルクをチェックすることをおすすめします。新しいホイールやナットは、最初の走行距離後に緩むことがあるため、初期チェックが重要です。
  2. 定期的な点検: ホイールナットのトルクを定期的に点検することが必要です。一般的なガイドラインとしては、タイヤローテーションやオイル交換のたびにチェックすることをおすすめします。これにより、トルク値が適切に保たれ、ホイールの安全性とパフォーマンスが確保されます。
  3. 走行条件の変化: 走行条件が変化した場合は、トルクのチェックを行うことが重要です。例えば、長距離ドライブや悪路を通る場合、車両の振動や衝撃がホイールナットに影響を与える可能性があります。これらの条件下では、より頻繁なトルクチェックが必要です。
  4. 異常を感じた場合: 走行中に異音や振動、車体の不安定さを感じた場合は、ホイールナットのトルクをチェックする必要があります。緩みやトルクの不均衡がこれらの問題の原因となる場合があります。

個人的には長距離ドライブの後は必ず行います。あと、車の利用頻度は月に数回ですが、1〜2ヶ月に1回はチェックするようにしています。

季節の気温の変化によってトルクが変わったりするものなので頻繁に行っています。

サーキットでの締め付けトルクの重要性

サーキット走行時には普段以上にホイールの締め付けが重要になります。以下に、サーキット走行における締め付けトルクの重要性をまとめました。

  1. 高速での負荷: サーキット走行では高速での走行や急加速、急ブレーキなど、高い負荷がかかります。適切な締め付けトルクは、ホイールナットがしっかりと固定され、ホイールの歪みや緩みを防ぐことができます。これにより、高速での直進安定性やハンドリング性能が向上し、車両の安定性が確保されます。
  2. 振動と衝撃の軽減: サーキット走行では路面の凹凸やコーナリングでの激しい振動や衝撃が発生します。不適切な締め付けトルクでは、ホイールナットやスタッドに振動や衝撃が集中し、緩みや破損のリスクが高まります。適切な締め付けトルクは、振動や衝撃の軽減に寄与し、ホイールやタイヤの寿命を延ばします。
  3. ブレーキ性能の最適化: サーキット走行ではブレーキ性能が極めて重要です。ホイールナットが適切なトルクで締め付けられていることにより、ホイールとブレーキディスクの間に適切な接触が確保されます。これにより、ブレーキパッドとディスクの正確な作動が促され、効果的なブレーキングが可能となります。適切なトルクを守ることで、ブレーキ性能を最適化し、安全性を向上させることができます。
  4. タイヤの寿命と性能: サーキット走行はタイヤにとっても過酷な状況です。適切な締め付けトルクは、タイヤとホイールの接触を適切に確保し、タイヤの振動や摩耗を最小限に抑える役割を果たします。これにより、タイヤの寿命を延ばし、タイヤの性能を最大限に引き出すことができます。また、均等なトルクでナットを締め付けることで、タイヤのバランスを保ち、ハイスピード走行時の安定性を向上させることもできます。
  5. 安全性と信頼性: サーキット走行では高速や激しい運動により、ホイールナットが緩むリスクがあります。正確な締め付けトルクを守ることは、ホイールの脱落やホイールのロックナットの緩みを防ぐために不可欠です。適切なトルクを守ることは、車両の安全性と信頼性を確保する上で重要な要素です。

サーキット走行する前、試走をした直後、帰宅する前は最低限トルクチェックを行うようにしています。

サーキットではタイヤホイールの温度が上がるし、振動も遥かに大きいので一般道よりはるかに早くナットが緩みます。

まとめ

ホイールが脱落すると、自分だけではなく脱落したホイール、タイヤで人命を奪うリスクがあります。

適正な締め付けトルクで安全、安心の車ライフをエンジョイしましょう。

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