概要
ATOTO S8 Premiumをここ2年ほど使っています。しかしながら、遮蔽物が多い道に行くとATOTOのAndroid上でGPSによる位置情報取得が行えなくなる現象がたまに発生します。
そこで、ATOTOのアンテナを交換すると感度が良くなる可能性があるので交換してみたいと思います。
ATOTO S8の取り付けに関する記事は以下にまとめてあります。
買ったもの
■主な仕様
・種別:GPS・GLONASSアンテナ
・周波数:1592MHz
・端子形状:SMA-P
・利得:5dB
・インピーダンス:50Ω
・偏波:右旋偏波
・定在波比(SWR・VSWR):1.5
・長辺:25mm
・短辺:25mm
・厚み:4mm
チップセットの仕様書を見るとgainは28dBあるっぽいです。
GPS信号の話
アンテナの仕様を見てもいまいち良くわからないのでGPSの信号について調べてみました。
まず、GPSにおいて衛星から送信されている信号には複数バンドの周波数帯が存在しています。これは、GPS信号のprefixで区別できるようになっています。ずっと昔から運用されているのはL1から始まる信号で、周波数帯は1575.42MHzバンドです。
そして、近年はL5やL6といったセンチメートルレベルで測位可能となる高精度な信号が追加されています。
iPhone 14 ProからはL5の受信も行えるようになったので格段に位置情報の精度が向上しています。
国内でL5やL6の信号を受信できる小型のアンテナはまだ少し値段が高いです。相場は1万円前後です。
そして、最近のトレンドとしては1つの周波数だけだと電離層の状態によって精度に差が大きくでてしまうので2バンドを使って測位する方法がトレンドです。マルチバンドによる測位ができれば0.5mから0.3mの誤差で測定できるようです。
商品自体もあまり流通していなくてAmazon、秋月、千石でも探してみましたが見当たりませんでした。
AliExpressでは1,000円ぐらいで販売しているので後日試してみたいと思います。(そもそも受信機側の対応が必要な気もしますがそれも含めて実験します)
そこで、今回買ってみたGPSの仕様書を見てみるとアンテナは1592MHzに同調してあります。L1の少し上です。マルチバンドとか書いていないので、L1のバンドだけにチューニングされているようです。
アンテナのゲインは5dBで、LNA(Low Noise Amplifier)によって28dBになっています。
750円のGPSアンテナで実験
開封してみます。末端はSMA-Jです。
ATOTO S8の本体のコネクタはFAKRA-Dという形式です。
汎用なGPSレシーバーはSMA端子で端末処理をされているケースが多いです。それに対して、ATOTOの端末処理はFAKRA-Dという形式です。カー用品では差し間違いを防ぐためにFAKRAを使うのが一般的なようです。
FAKRAには形状と色、用途が厳密に定義されています。ちなみに、FAKRA-Zは特殊でユニバーサルに使えるという特徴があります。基本的にはFAKRAはカプラーのプラスチック部分の形状が異なる(錠前と鍵の組み合わせに近い)のですが、FAKRA-Zは汎用的な形状で作られているのでオス側はどこのメス側にも刺さります。
以下にFAKRAの仕様策定団体が公開している仕様書を掲載しておきます。
上だと分かりづらいので、別のサイトにあった仕様書も掲載しておきます。
SMAメスからFAKRA-ZまたはATOTOで使われているFAKRA-Dに変換するケーブルを買います。
FAKRA-Z – SMAだとAmazonだと少し高いです。
FAKRA-D – SMAだと少し安いです。しかしながら到着まで1ヶ月近くかかるようです。おそらく、Aliexpress経由で調達していると思われます。
FAKRA-Zを使えばユニバーサルにどこにでも挿せるので、一番安いサイトを頑張って探すと、SMA-P – FAKRA-Zの変換コネクタをヤフオクで1,000円ぐらいで買うのが1番安いことがわかりました。
FAKRA-Zです。どんなオスでも挿せます。
ATOTO S8のコネクタとの比較です。
FAKRA-D(左)とFAKRA-Z(右)です。
FAKRA-Z(左)とFAKRA-D(右)
FAKRA-Zを差してみると、バッチリハマりました!
変更前の状態
同じ場所でアンテナのケーブルを付け替えて実験します。まずは、ATOTO S8純正アンテナ。
受信:16個、利用10個。誤差4m。
変更後の状態
750円のGPSアンテナ。
受信:13個、利用9個。誤差4m。
実用上はあんまり問題が無さそうです。
誤差に変化は無いですが、感度が悪いようです。衛星の数が16個から13個に減ってます。全体的に衛星の利得も落ちてます。
変更前の状態
今度は、差がわかりやすいようにシビアコンディションで実験します。遮蔽物のある状態。建物の下で横側に開放している状態の場所で実験してみます。
変更後の状態
やはり1回目の実験と同様に感度が悪くなっています。
追加実験
アンテナを屋外に出すと感度が上がるかどうかを実験してみましたが、あんまり変わりませんでした。
また、人の手に持つと感度が悪くなることがわかりました。
後日やること
- アンテナの安定性がどうなのかをちょっと検証してみようかなと思います。ATOTO S8本体の問題かもしれませんがたまに位置情報がつかめなくなります。
- 鉄板またはアルミ板などを敷くと磁界が変わるようで感度が変化するっぽいので良い感じの金属があったら実験してみたいと思います。
- L5対応のGPSアンテナが届いたら実験してみる。
まとめ
- 750円のGPSアンテナに交換したら感度が悪化した。
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